Canon EF-MはEOS 1000をベースに開発された、
EFマウントをもつカメラとしては唯一のマニュアルフォーカス専用機で、
海外市場のみで発売されたモデルです。
#参考:
キヤノンカメラミュージアム | カメラ館 - フィルムカメラ EF-M
(外部サイト)
公式マニュアルはその性質上英語であるうえ、
有志の手によってアップロードされたPDFマニュアルはいまいち使いにくい感もあり、
以下、自分自身の備忘録を兼ねていくつか操作方法を記したいと思います。
ベースとなるEOS 1000同様にプリワインド方式を採用しています。
フィルムを装填し橙線までフィルムを伸ばした後に、
裏ぶたを閉めると自動でフィルムを巻きだし、カウンターが停止すると準備完了となります。
この方式は装填時にあらかじめフィルムを全てパトローネから巻きだして、
撮影したコマからパトローネ内へ巻き込んでいくことで、
誤って裏ぶたを開放してしまった場合でも撮影分は保護されることが最大のメリットですが、
フィルムの撮影番号と実際の撮影順が合致しなくなる点に注意しておかないといけません。
レンズをマウントから外した後に、絞りダイヤルを"ISO"位置に設定して、
*ボタンとセルフタイマーボタンを同時に押下することで、
フィルムの途中巻き上げを開始し、カウンターが"E"を示すと巻き上げ完了となります。
AE撮影時の露出補正は、1/2段刻みで+/-2段まで補正が可能です。
補正値の設定はシャッターボタン半押し後の測光タイマー作動中に、
EXP.COMP.ボタンを押し、▼(*)ボタンないし▲(セルフタイマー)ボタンを押すことで行います。
また露出補正値はファインダー内の補正バーでのみ確認できます。
*ボタンのみを押下すると、押下している間のみ部分測光(中央部分9.5%)となり、
ファインダ内には露出値とともに*マークが点灯します。
(ボタンから手を離すと部分測光は解除され、*マークも消灯します。)
一方で、*ボタンを押下しシャッターボタンを半押しすると、
*ボタンから手を離してもファインダ内の露出値と*マークは維持されて、AEロックとなります。
EF-Mでは露出モードとボタン操作によって測光方式が固定されます。
以下に相関関係を示しておきます。
露出モード (ダイヤルの状態) | 測光方式 | *ボタン押下時 |
---|---|---|
プログラムAE (SS:[A]/F:[A]) |
画面3分割 評価測光 |
部分測光 (AEロック兼用) |
シャッター速度優先AE (SS:任意の値/F:[A]) |
中央重点 平均測光 |
|
絞り優先AE (SS:[A]/F:任意の値) |
#表中凡例
#SS; シャッター速度ダイヤル / F; 絞りダイヤル / [A]; オート位置(白抜きAマーク)
10秒タイマーによるセルフタイマー撮影が可能です。
ピントを合わせ、シャッターボタンを半押しして露出を確認した後、
セルフタイマーボタンを押し、シャッターボタンを全押しすることでカウントダウンを開始します。
途中キャンセルする場合はいずれかのダイヤルを操作することでキャンセルとなります。
使用可能なフィルム感度域はISO6-6400で、1/3ステップでマニュアル設定もできます。
ISO感度のマニュアル設定は絞りダイヤルを"ISO"位置に合わせて、
▼(*)ボタンないし▲(セルフタイマー)ボタンを押すことで行います。
ISO感度はファインダー内のLCDに表示されるのみで、
マニュアル設定はファインダーを覗きながら行うこととなります。
ベースとなったEOS 1000同様、スピードライトの同調最高速度は1/90ですが、
EF-Mのシャッタースピードダイヤルは1段刻みの為、1/90目盛がありません。
そこで、シャッタースピードダイヤルをフラッシュマークに合わせることで問題を解決しています。
なお、スピードライトを接続しなくても支障なく撮影できるので、
シャッター速度優先AE、マニュアル露出で1/90撮影も可能ということになります。